サンタの存在を信じさせる意義はあるんだろうか?
「そういう兄様は子どもの頃信じていたんですか?」
信じてはいたな。けど、テレビとか漫画でさらっとネタ晴らし食らった。
今となってはどれが最初だったのかわからないほど繰り返してな。
「信じて欲しい大人と、ネタ晴らしをしたい大人と、二種類いるようね」
……まあ、そういうテレビや漫画を見るのは、悪い子だったんだろうな。良い子は見ない番組や漫画……
「うーん、幼児向けコンテンツだけを視聴する世代……こども園に通うぐらいまでをサンタを信じる世代としているのでしょうか?」
そう言われると、俺の時は保育園だったが、少なくともそのぐらいまでは信じていたかも。
「そもそもとして、良い子にしていればサンタクロースにプレゼントがもらえるというのが子供向けのお話だったわね。でも、小学生にもなれば、そんなことは大人の作り話だと、だいたい察するものじゃないかしら?」
どうだろう?ちゃんと欲しいものをくれるなら、人間は信じた振りをしてしまうものだもの。逆に欲しいものをくれなければサンタなんて信じられなくなる。
「なんだか、現金な話になっていませんか?」
そういうものだよ、まして、理性のない子どもなんて本当に欲望に忠実だもの。
「まあ、だいたいわかったかもしれないわ。欲しいものをくれるなら子どもはサンタを信じるし、欲しいものをやらずに子どもに良い子でいることを強いる大人は、サンタを疑う子どもにサンタを信じることを強いる、つまりサンタを信じる子どもは良い子だから、そういう態度を見せろと要求するのね」
優律も言ったが、現金な話だなぁ。
あ、そういえば、外国の老人なのに、バンダイのオモチャを枕元に置いているのは何かおかしいとは思ってた記憶がある。
でだ、うちの子には、サンタをどう説明すればいいんだ?
「どうしましょうか?別に我が家だけのことであれば、良い子にしていれば私たちからプレゼントあげるでよいとは思うのですが……同い年の子どもと話が合わないのはちょっとこまるかもしれません」
「別によその子に対する責任はないけれどね……世間に合わせなきゃいけないのって面倒くさいわね」
ほんと、それな……