この一ヶ月はこの国は美しくもあり、醜くもあり、気高くもあり、卑しくもあり……そんなニュースを報じられていますが、こちらは生活に大きな変化はありません。
「こちらにいる存在としてはどのようにするべきなのか、葛藤してはいますが……」
「けれど、誰かを傷つけるような言葉を使ったり、無用の混乱を巻き起こすデマを広めるくらいなら何も出来ない方がマシかもしれない、そう思いもするわね。もっとも、そのデマを止める手段の無いのだけれど。」
無用の混乱と言えばな……
「？」
地震の直後から応援のイラスト、歌、などがネットに上がっていたのは知っているよな。
「偽善、というよりみんなそうしなければ辛かったのでしょうね。」
そうなんだが、それをかえって被災者が傷つくとか言って批判する奴がいたんだ。
「意見はあるでしょうね。」
それが本当に『意見』だったのならな。
「どういう意味かしら」
捨てアカウントで書き逃げだった。もし、被災者が傷つくから本気で護りたいと思うなら、反論も受けるべきだろう。なのに書き逃げ……最低じゃないか。
「少数意見と自覚して、意見をまともにぶつけられると勝てないと思ってのことかもしれませんが」
「でも、確かにそれでは誰もついてこないわ。結局、自分と同意見の人々すら見捨てたのだものね。」
