実家に戻れなかったお盆には映画を見まくったわけだが。
「5月から上映が延期になっていましたからね。上映スケジュールがたまっていたから仕方ないですが」
まあ、いろいろ見たが、結果的にどれもよかったな。というのも、今し方、映画を楽しめる基準に一線を引けることに気付いたからなんだが。
「何かしら? 一線を引ける?というのは、どういうことかしら、傑作と凡作の明確な違い?」
いや、ちょっと違う、世間的に傑作でも楽しめないこともあるし、凡作でも楽しめることもある。で、その楽しめたかどうかの基準として、映画の最中に自分の創作のことを考え出したら楽しめてないんだ。
「他のことに気が散る……と言うことですか。あ、映画館だと、他にやることないですものね。頭の中で何かをやるしかないんですね」
そう、それな。まあ、でもそれを始めちゃう映画体験って寂しいよな。
「でも、旦那様にとって、それは駄作なのでしょう? そんなものを作る方が悪いわ」